C型肝炎の治療にはインターフェロンという注射によって、体の中からC型肝炎ウイルスを排除していく治療が中心でした。
1992年にこのインターフェロンが登場してから注射による治療が中心ではありましたが、中にはこのインターフェロンが効かない人や他の病期を治療中でインターフェロンを併用できない人がいました。
しかしながら注射以外のC型肝炎治療の方法として飲み薬での治療が登場しました。2001年にはリバビリンという飲み薬が登場し、インターフェロンとの併用をすることによって、より治療の効果を高めることに成功しています。
さらには、2011年に登場した直接作動型抗ウイルス薬により、ペグ・インターフェロン、リバビリン、そして直接作動型抗ウイルス薬の3者併用も可能となり、90%以上の患者さんのC型肝炎ウイルスを排除することにも成功しています。
このリバビリンは1992年にインターフェロンが発売してC型肝炎の治療が可能となりましたが、しかしながら出始めた頃のウイルスを排除する確率は10%程しかなく、そこから研究・開発が進んだ物の30%程度の排除率しかありませんでした。
しかしながら新薬が開発される度にその確率が高くなり、インターフェロンが効きにくいと言われる人でも90%近くの効果が出始めました。
今後は2015年には著効率が95~99%と非常に高いジェノタイプ2型への経口新薬であるソフォスブビル・リバビリンが、ジェノタイプ1型への効果が期待されるソフォスブビル・レディパスビル合剤が認可される予定であり、その治療の可能性は益々広がりを見せています。
こうした新薬によるC型肝炎ウイルスの治療は飛躍的に発展し抗ウイルス療法の可能性を広げています。
C型慢性肝炎に対するもっとも根本的な治療は、HCVを体内から排除することです。以前はインターフェロンを用いた治療がおこなわれていましたが、現在はほとんどの方がインターフェロンフリーの飲み薬での治療を受けています。また、2019年2月より重度の非代償性肝硬変の方でも内服可能な薬が登場しました。抗ウイルス薬は非常に高価ですが、肝がんの合併がない方は医療費助成を受けることが可能なため、自己負担は少額で済みます。
引用元:C型肝炎の治療 | 肝炎情報センター – 国立国際医療研究センター
しかし、一方で抗ウイルス療法が適用されない患者さんの為には、直接ウイルスに効果を発揮するのではなく、肝臓機能の改善を図っていったり、肝臓の炎症を抑える治療法もあります。
それが肝庇護療法で、抗ウイルス療法と同じく注射や飲み薬によるものがあります。注射では強力ネオミノファーゲンシー、飲み薬ではウルソデオキシコール酸などが用いられています。
C型肝炎治療の新薬開発
C型肝炎に対する治療は注射での治療が中心として行われてきましたが、2000年以降は新薬の開発により、飲み薬と注射の両方を使っての治療が進められてきました。
2013年11月にジェノタイプ1型の慢性C型肝炎の抗ウイルス薬であるシメプレビルがヤンセンファーマ株式会社より発売となり、日本において製造販売承認を世界で初めて取る新薬として注目を集めました。
日本のC型肝炎患者の70%をしめるジェノタイプ1の慢性C型肝炎治療における治療薬で、インターフェロンと併用で使用されています。
さらにジェノタイプ1のC型慢性肝炎、C型代償性肝硬変の抗ウイルス薬である、ダグラタスビル塩酸塩とアスナプレビルの製造販売が2014年7月に承認されました。
そして、9月にはC型肝炎初めての経口2剤治療薬がブリストル・マイヤーズ社から発売されました。これは保険適用治療として認可されており、医療費助成制度も使うことのできる新薬です。
その後2014年11月25日にはMSD社からバニプレビルが発売されました。シメプレビルと同系統のプロアテーゼ阻害剤であり、インターフェロンとの併用薬となっています。
特徴としては、インターフェロン・リバビリン無効患者の著効率が高いことがあげられています。
2015年の春から夏頃には、ジェノタイプ2型への経口新薬であるソフォスブビル・リバビリンが、そして夏から冬の間にジェノタイプ1型への経口新薬であるソフォスブビル・レディパスビル合剤が認可される予定であり、これらはいずれも著効率が95~99%という驚異的な高さを見せる薬となっています。
今後は現在アッヴィ社で研究・開発中のABT450・ABT267が期待されるなど、今後もこうしたC型肝炎ウイルスの治療に対する新薬が開発されると言われています。
こうした新薬の開発や研究が進歩することによって、今までインターフェロン治療を途中で中止してしまった人や効果がなかった人、最初からインターフェロン治療ができなかった人、また、高齢で治療ができなかったり、代償性肝硬変だった人などの治療ができる可能性がでてきました。
C型肝炎の治療に有効なシメプレビルとは?
2013年9月に製造承認され、12月にヤンセンファーマ株式会社からソブリアードが発売となりました。
これは一般名をシメプレビルと呼ばれ、ジェノタイプ1型のC型慢性肝炎の治療薬となっています。
日本では約150~200万人のC型肝炎患者がいるとされていますが、そのうちの70%がジェノタイプ1型とされているために、多くの患者に有効な新薬として注目を集めました。このシメプレビルは100mgを1日1回服用し、12週間続けます。
C型肝炎ウイルスが増殖するのに必要なNS3/4Aセリンプロテアーゼを阻害することで、C型肝炎ウイルスの進行を抑制する飲み薬タイプの直接作用型抗ウイルス薬で、ペグインターフェロンアルファ-2aやペグインターフェロンアルファ-2bそしてリバビリン併用することで抗ウイルス作用も認められています。
このペグインターフェロンやリバビリンと併用することで、著効率が非常に高くなり約90%もあると言われています。
また、ペグインターフェロンとリバビリンとの併用によっての強い副作用が確認されず、副作用はこれまでのペグインターフェロンとリバビリンの時の治療とほぼ同じと言うことも特徴となっています。
シメプレビルが登場するまでには2011年に承認された第一世代と呼ばれているテラプレビルが使用されていました。
テラプレビルはシメプレビルと効果が非常に似ておりペグインターフェロン-2bやリバビリンとの併用も可能ですが、皮膚障害の副作用があるために、皮膚科との連携をしての治療が必要不可欠でした。
また、1日に3回の服用が必要で食事の影響も受けるという点がありました。
しかし、シメプレビルはペグインターフェロンは2aと2bの両方ともの併用が可能で、食事の影響も受けないとして多くのC型肝炎患者の人に利用されています。
シメプレビルは副作用の少なさ、持続時間が強いために1日1回の服用で効果があること、インターフェロンとリバビリンとの併用が可能であることなどから、これまでの治療が不可能だった人や、治療に効果がなかった人などの治療にも使用されている新薬となっています。
ギリアド社とC型肝炎新薬
アメリカのバイオ医薬品会社であるギリアドサイエンシズ社は炎症性疾患や、呼吸器、循環器系疾患、HIV、そして肝疾患の抗ウイルス薬の開発で有名となっています。
日本では2012年に支社が設立され、日本企業のJTと協業しています。
このギリアドサイエンシズ社は2013年12月にC型肝炎治療薬の「ソバルディ」の認可を取得し、発売を開始しました。
このソバルディは新世代のC型肝炎治療薬とされ、当時約320万人がアメリカにいるC型肝炎の感染者の多くの人の治療を助けるとされていました。
ソバルディはこれまでのインターフェロンとは違い注射ではなく飲み薬であること、またリバビリンのような副作用もなく、さらに約90%という高い治癒率を誇っています。
しかしながら、ソバルディの費用は1日約10万円かかるとされ、新薬の中でも市場もっとも高額な薬として、社会問題までなりました。
それから、約1年後の2014年10月にギリアドサイエンシズ社はC型肝炎患者をインターフェロンと併用することなく治療できるという新薬「ハーボニ」の承認を得ました。
そして、同年の12月には同じくアメリカのバイオ医薬品会社のアッヴィもC型肝炎治療薬を開発し承認を得ました。
しかし、療法の薬に共通することはどちらも薬の服用期間は12週間であり、治癒率も90%と非常に高いというプラスの面もありますが、その金額が1000万円という非常に高額であるマイナスな面もあります。
しかしながら2015年にはアメリカのドラッグストアCVSヘルスがハーボニを保険対象薬にしたことで、C型肝炎患者の治療の手助けになると言われています。
2015年にはハーボニは日本でも発売が予想されておりますが、その他にもギリアドサイエンシズ社からは、2015年の春すぎには、ジェノタイプ2型への経口新薬である「ソフォスビル+リバビリン」が認可される予定です。
又、夏頃にはジェノタイプ1型へ有効な「ソフォスビル・レディパスビ合剤」が認可される予定となっており、どちらの新薬も著効率は95%~99%と言われている、今後のC型肝炎治療に期待される新薬となっています。
C型肝炎のブリストル社の新薬2種類
アメリカのニューヨークに本社をおく、ブリストル・マイヤーズスクイブ社は2014年7月にジェノタイプ1のC型代償性肝硬変に対するインターフェロン、リバビリンを必要としない飲み薬の製造販売承認を日本で初めて取得しました。
その後、9月2日には薬価基準収載を受け、販売となりました。その二つの薬というのが、一般名をダクラタスビル塩酸塩という「ダクルインザR錠60mg」、そして一般名をアスナプレビルという「スンベプラRカプセル100mg」であります。
ダクルインザは直接作用型の抗ウイルス剤であり、C型肝炎ウイルスが複製されるのに必要な非構造蛋白NSSAの機能を阻害することによる抗ウイルス効果がある、世界初のNS5A複製複合体阻害剤なのです。
ジェノタイプ1のC型慢性肝炎、C型代償性肝硬変におけるインターフェロンを含む治療ができない人、またはインターフェロン治療でも効果のなかった人が使用することのできる新薬で、患者のウイルス血症の改善に効果があると言われています。
このダクルインザは通常はスンベプラと併用し1日1回24週間の投与を基本としています。値段も1錠60mgで約9186円と1万円以内となっています。
このダクルインザと併用をするスンベプラは、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤でC型肝炎ウイルスの増殖に必要とされる酵素NS3/4Aプロテアーゼの活性部位で基質の結合を阻害してくれる直接作用型抗ウイルス剤です。
ダクルインザと同様にジェノタイプ1のC型慢性肝炎、C型代償性肝硬変のウイルス血症の改善に効果があり、1回100mgを1日2回24週間の投与が必要となります。値段は1カプセル約3280円となっております。
このダクルインザとスンベプラは開発段階で併用することでの拮抗作用や細胞毒性の増強、交差耐性が認められなかったことから、この二つの直接作用型抗ウイルス剤を併用することにより、C型肝炎ウイルスに対する効果が高まるとされています。
高齢、合併症の危険性、副作用の影響などでインターフェロン治療ができない人、またインターフェロン治療の効果が無かったC型肝炎患者にとってはこのブリストル社から発売された2つの新薬が新たな治療への可能性を示してくれることとなりました。
C型肝炎薬の副作用
C型肝炎の治療には注射と飲み薬を併用していくことが現在では主流となっています。しかし、中には注射のインターフェロンが使用不可能な人、また無効な人がいます。
しかし2014年には飲み薬だけで治療が可能となる新薬が登場するなどC型肝炎ウイルス治療に関しての新薬の研究・開発は非常に進んでいます。
しかしながら、こうした新薬の開発で治療が進むのも確かではありますが、また副作用があるのも事実なのです。
飲み薬よりも以前から使用されている抗ウイルス薬であるインターフェロンは、直接幹細胞に働き、ウイルスの増殖を防ぎ、ウイルスの遺伝子型や肝炎の病期などによっては、ウイルスを排除し、肝炎の進行を遅らせるなどの効果がありました。
しかし、この治療が成功するのは100人中30人程度と30%の確率ではありませんでした。
しかし、その副作用は風邪やインフルエンザなどと同じく、発熱、悪寒、頭痛、関節痛等があり、中には脱毛や血小板や白血球の減少なども見られる人が出ています。
その他にも皮膚にかゆみが出る人や体重減少を訴える人などもいるようです。
またこのインターフェロンを経口薬であるリバビリンと併用することにより、皮疹や貧血の頻度を高めるという副作用も報告されています。
これらの副作用は治療を継続していくことで症状が軽くなったりして行きますが、あまりにも酷い場合には医師との相談の上で、薬を減らすことや、鎮痛解熱剤などを使うことで対応することができます。
その他にこのリバビリンには催奇形性があるので、妊婦に投与はできません。また男性の場合にもパートナーに移してしまう場合があるので、気をつけなければなりません。
このようにC型肝炎の治療には風邪のような症状や妊娠時における注意、また、血液などへの影響もありますが、実はより気をつけなければならないことがあります。それが、間質性肺炎です。
肺の中で肺胞と間質に炎症が起きてしまい、咳や息切れなどの症状が現れます。
特に肝臓を保護する小柴胡湯を併用すると間質性肺炎になりやすいと言われているので、インターフェロンとの併用は注意をしなければなりません。
その他には、溶血性貧血や抑うつ、そして自殺企図があります。鬱病などと症状としては酷似しており、治療に対しての不安や焦燥感から鬱状態になり自殺を図ってしまう人もいるそうです。
C型肝炎の治療にはそれだけ時間と忍耐が必要になってくるのです。
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