軟性下疳の原因はその他の性感染症と同じく性交渉が原因で、実は昭和20年から昭和25年頃の終戦記には、梅毒、淋病に続く第3の性感染症として知られていました。
この軟性下疳を起こす原因菌は軟性下疳菌またはヘモフィルス・デュクレイウイルスと呼ばれ、1889年に発見されました。
この軟性下疳の原因菌にはある特徴があるために、衛生環境の整っている日本では現在ほとんど見られなくなりました。
それは、感染経路が性交渉で皮膚や粘膜の直接接触のみで感染すると言うことです。軟性下疳菌は外界の環境に対しての抵抗力が非常に弱いために、すぐに死滅してしまうのです。
人間には、病原性があるために直接接触することで感染してしまうのです。
軟性下疳は日本に住んでいるとそこまでの感染の恐怖や危険性はないと言って良いかも知れません。しかしながら海外渡航をした際に感染してしまうことがあることは可能性としてあります。
潜伏期間も非常に短く、また症状の痛みも非常に強いために、そのまま日本に帰国できる人もあまりいないかもしれません。
しかし、一度罹ってしまうと非常に強い痛み、そして、HIVや他の感染症に罹りやすくなってしまうために、自分だけではなく、パートナーなどにも注意をしてもらう必要があります。
軟性下疳菌とは
軟性下疳を引き起こす原因は、軟性下疳菌であります。この軟性下疳菌は1889年にデュクレイが軟性下疳の患者の膿を検査したところ発見した菌です。
軟性下疳菌は好気性、通性嫌気性のヘモフィルス属に分類されています。同じく小児の敗血症、また髄膜炎などを引き起こすインフルエンザ菌なども属しています。
軟性下疳菌は細長い桿菌で、培養はかなり難しいが培地では連鎖を作る傾向にあります。
軟性下疳の治療の際には抗生物質を服用したり、注射での治療をして行きますが、これらの治療はかなり有効で数日から数週間で完治してしまいます。
これは、軟性下疳菌が抵抗力が非常に弱く、簡単に死滅してしまう特性があるためです。
そのために、外気に触れることで死滅をしてしまうことがあるので、感染経路も人間同士の皮膚や粘膜の直接接触となっています。
軟性下疳は日本ではほとんど見られることはなくなり、実際に診察をしたり見たりした医師も少なくなっているほどです。
軟性下疳菌は抗生物質などを服用し、しっかりと治療をしているとすぐに回復してしまいまう。
人間の体内の外での抵抗力は非常に弱いことは上記していますが、さらに抗生物質に対する抵抗性も報告されていないので、日本などの公衆衛生が行き届いている国では感染が広がりにくいと考えられています。
軟性下疳の原因となるヘモフィルス
ヘモフィルス・デュクレイウイルスは軟性下疳の原因となるウイルスで1889年にデュクレイという医師によって発見されました。
デュクレイは軟性下疳患者の膿からこのヘモフィルス・デュクレイウイルスを発見しました。
その当時から今日に続くまでに日本ではこのヘモフィルス・デュクレイウイルスは減少していき、現在ではほとんど見られることはなくなりました。
現在の医師の中でも本などの勉強の中で見聞きすることはあっても、実際に感染している患者を診たことがない人も多いほど、稀な性感染症となっています。
日本ではほとんど確認されることがなくなったヘモフィルス・デュクレイウイルスですが、実は世界的には感染を広めているウイルスなのです。
東南アジア、南米、アフリカ諸国、アメリカなどでは増加を続けており、特にアフリカ諸国ではもっとも感染者の多い性感染症の一つとしてもしられているのです。ウイルス自体は非常に弱く抵抗力の弱さが特徴的です。
他の性感染症であれば空気に触れても問題はなく、お風呂やプール、タオルからも感染を広げていくことがありありますが、このウイルスはそれほどの感染をしません。
基本的には性交渉による感染のみで、通常の性交渉、オーラルセックス、アナルセックスで感染をします。
これは、人間の皮膚や粘膜の直接接触のみでしか感染することができないほどの抵抗力の弱さが原因です。
また、栄養要求性が厳しく培養も困難であるために、人間が使用している抗生物質などに対する抵抗性のある株もほとんど発見されていません。
そのために、セフトリアキソンなどの注射や、アジスロマイシン、エリスロマイシンなどの経口薬を使用することで比較的簡単に治療をすることもできるのです。
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